焼肉ドラゴン (2018)

第16回読売演劇大賞など数々の演劇賞に輝いた戯曲を、原作者の鄭義信が監督を手がけて映画化した人間ドラマ。昭和40年代の大阪を舞台に、万博の開催でにぎわう世間から取り残されたかのように生きる在日韓国人家族の姿を描く。一家の長女を真木よう子、次女を井上真央、三女を桜庭ななみが演じるほか、大泉洋が出演する。

焼肉ドラゴン (2018)のあらすじ

金龍吉(サム・キンホ)は第二次世界大戦に従軍して左腕を失い、四・三事件で故郷の済州島を追われて来日した高英順(イ・ジョンウン)と再婚する。龍吉は長女・静花と次女・梨花、英順は三女・美花をそれぞれ連れており、二人は国有地を不法占拠した集落で焼肉店「焼肉ドラゴン」を開業し、やがて長男の時生が生まれた。

作中では1969年春から物語が始まり、中学生となった時生が「僕はこんな町大嫌いだ!」と屋根の上で叫ぶ。梨花(井上真央)は李哲夫(大泉洋)と結婚パーティーを挙げようとしていたが、区役所の窓口で担当者と哲夫がケンカして婚姻届を提出できなかった。夏になると国有地から立ち退くように一家は通知を受け、有名私立中学に通う時生はいじめにあって不登校となる。哲夫が働かないこともあって梨花は立腹し、かつて付き合っていた静花(真木よう子)の事をまだ好きなのではないかと責める。これを気にした静花は尹大樹と付き合うが哲夫はそれでも好意を捨てず、梨花も常連客の呉日白(イム・ヒチョル)と関係を持つようになった。

いじめが続いて時生(大江晋平)は失語症となり、美花(桜庭ななみ)は勤め先のクラブの支配人の長谷川(大谷亮平)との不倫が明らかになる。冬になり静花と大樹は婚約したが、そこに哲男が現れて静花に一緒に北朝鮮へ帰国事業で移住する事を求め、静花はこれに応じる。留年した時生に対してそれでも学校に通うよう龍吉は説得するが、時生は屋根から飛び降り自殺をしてしまう。1970年になり、妊娠した美花と結婚するため長谷川は妻と離婚した。土地の収容に訪れた公務員に、龍吉はこの土地は自分が買ったものだと主張し、感極まって「戦争でなくした腕を返せ」、「息子を帰せ」と叫ぶ。

1971年春、ついに店は取り壊される。哲夫は帰国事業で二度と再会できなくなる未来を暗示するように記念写真をしつこく撮り、梨花は呉日白と韓国へ移住、三女の美花は長谷川と日本でスナックを経営して一家は離散する。龍吉と英順はリヤカーに荷物を載せて去り、死んだ時生が屋根の上に現れて「アボジ!オモニ!本当はこの町が大好きだった!」と叫ぶ中で桜の花びらが降ってくる。

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